院長ブログ
2015年6月 1日 月曜日
急性心不全の退院後死亡リスクと無呼吸症の関係
急性心不全は退院後の予後不良な疾患である。それに関わる因子のひとつが睡眠中の無呼吸かもしれない。Khayat Rらは、収縮機能障害をもつ急性心不全患者の退院前に睡眠検査を行い、退院後の予後に無呼吸症が関係するかどうかを検討した。入院中の1117人に睡眠検査を行い、47%がいびきを伴う閉塞性、31%が中枢性の睡眠時無呼吸症を認めた。1096人が退院可能となり、その後の予後を前向きに観察した。退院前の検査にて、閉塞性または中枢性の無呼吸症をもつ患者は、それらをもたない人に比べると、早期の死亡と関連性を認め、それは様々な交絡因子を除外したうえでも、独立して予後不良な因子であった。
ゆみのコメント:急性心不全患者の退院後死亡に睡眠時無呼吸症が独立して関連したことを報告した研究である。 我々も以前に、安定した心不全患者において睡眠時無呼吸症の存在が、死亡イベントに関わることを報告している(Yumino D et al. Relationship between sleep apnoea and mortality in patients with ischaemic heart failure. Heart 2009;95:819-24)。 本研究を含め、これらの関連性を示唆する報告があるものの、いまだ心不全の病態と睡眠時無呼吸症の因果関係が明らかではない。心不全が悪い人が、睡眠時無呼吸症の病態を起こしやすいか、また睡眠時無呼吸症の病態自体が心不全を悪化させ、予後を悪くするかは、明確ではない。このため、無呼吸症への治療介入、可能であれば、陽圧呼吸療法ではなく、心臓自体への影響を与えない無呼吸症への直接的な治療、により心不全の予後が改善するかどうかの検討が待たれる。
引用文献:Khayat R et al. Sleep disordered breathing and post-discharge mortality in patients with acute heart failure. Eur Heart J 2015 (in press)
ゆみのコメント:急性心不全患者の退院後死亡に睡眠時無呼吸症が独立して関連したことを報告した研究である。 我々も以前に、安定した心不全患者において睡眠時無呼吸症の存在が、死亡イベントに関わることを報告している(Yumino D et al. Relationship between sleep apnoea and mortality in patients with ischaemic heart failure. Heart 2009;95:819-24)。 本研究を含め、これらの関連性を示唆する報告があるものの、いまだ心不全の病態と睡眠時無呼吸症の因果関係が明らかではない。心不全が悪い人が、睡眠時無呼吸症の病態を起こしやすいか、また睡眠時無呼吸症の病態自体が心不全を悪化させ、予後を悪くするかは、明確ではない。このため、無呼吸症への治療介入、可能であれば、陽圧呼吸療法ではなく、心臓自体への影響を与えない無呼吸症への直接的な治療、により心不全の予後が改善するかどうかの検討が待たれる。
引用文献:Khayat R et al. Sleep disordered breathing and post-discharge mortality in patients with acute heart failure. Eur Heart J 2015 (in press)
投稿者 ゆみのハートクリニック