院長ブログ

2014年3月17日 月曜日

SASに合併した治療抵抗性高血圧へのCPAPの効果

治療抵抗性高血圧患者の70%以上に閉塞性睡眠時無呼吸症を合併する。しかしながら、これらの患者のCPAPの血圧への効果はいまだ明らかではない。
Martínez-Garcíaらは、多施設前向き研究にて、睡眠時無呼吸症を合併した治療抵抗性高血圧患者194人をCPAP治療群と非治療群を無作為にわけ12週間の観察を行い、24時間血圧測定にて血圧への影響を検討した。尚、治療抵抗性高血圧患者の定義は3種類以上降圧剤を内服しているにも関わらず血圧140-90以下への治療困難な症例とする。
対象患者の平均の1時間あたりの無呼吸低呼吸の回数(AHI)40.4回/時間、治療前の収縮期と拡張期の平均血圧は144-103であった。また患者の26%が夜間の血圧が日中血圧の10%以上に低下するdipper typeであった。12週間のCPAP治療にて非治療群と比較して、拡張期血圧は-3.2mmHgと有意な低下を認めたが、収縮期血圧は-3.1と統計学的には有意ではなかった。また夜間に血圧が低下している割合を検討したところ、CPAP治療群は36%と非治療群では22%とCPAP治療でdipper typeの患者が有意に多かった。さらに、CPAP治療時間が長ければながいほど、24時間の血圧が低下していた。

ゆみのコメント:
降圧剤を多く内服しているにも関わらず血圧が下がらない治療抵抗性高血圧患者は多く存在する。この患者は、将来的に様々な心血管系イベントをきたす可能性が高いことが報告されている。最近、この治療抵抗性高血圧の病態に、夜間の繰り返す低酸素や覚醒反応を示す睡眠時無呼吸症が深く関係していることが明らかになっている。
本研究では、睡眠時無呼吸症と治療抵抗性高血圧が併存している患者にCPAP治療を3か月間行い、拡張期血圧と夜間の血圧低下を有意に認めたことを明らかにしている。日常診療において、治療抵抗性高血圧患者は、降圧薬を増やすだけでなく、睡眠時無呼吸症など血圧に影響を与える可能性のある併存疾患の存在を考え、その治療を行うことで、血圧が低下する可能性があることを考える。しかしながら、治療抵抗性高血圧患者へのCPAP治療により全例に血圧が低下するわけではない。治療抵抗性高血圧と睡眠時無呼吸症の因果関係は、1)両疾患が単なる合併している 2)睡眠時無呼吸症が治療抵抗性高血圧の要因となる 3)治療抵抗性高血圧が睡眠時無呼吸症の要因となる、など症例により異なる可能性があることを念頭におく必要がある。

引用文献:Martínez-García MA et al. Effect of CPAP on blood pressure in patients with obstructive sleep apnea and resistant hypertension: the HIPARCO randomized clinical trial.  JAMA. 2013;310:2407-15.

投稿者 ゆみのハートクリニック

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