院長ブログ

2014年3月 3日 月曜日

睡眠時無呼吸症におけるCPAP治療の抑うつ症状への効果

睡眠時無呼吸症と抑うつ症が関連していることが言われている。しかしながら、睡眠時無呼吸症患者におけるCPAP治療の抑うつ症状への効果はいまだ明らかではない。 Gaqnadouxらは、多施設前向き観察研究にて、無呼吸症への長期CPAP治療が抑うつ症状へ効果を認めるかを検討した。睡眠時無呼吸症と抑うつ症状をもった300名の患者を対象とした。そして、CPAP治療を1年以上継続し、残存している抑うつ症状と関連する因子を多変量解析にて検討した。対象患者全体では、平均529日のCPAP治療継続にて、抑うつ症状のスケールであるQD2Aスコアが9.2から5.4まで減少した。しかしながら、41.7%の患者が依然抑うつ症状が残存していた。残存する抑うつ症状に独立した因子は、女性、心血管系疾患をもち、日中の眠気が残っている人であった。

ゆみのコメント:
睡眠時無呼吸症と抑うつ症状をもつ患者にCPAP治療を行い、60%の患者で抑うつ症が軽快していた。これは、睡眠時無呼吸症が抑うつ症状の原因となり得ることを示している。またCPAP治療を行っても残存する日中の眠気が生じる症例は、抑うつ症状の改善がみられない、つまり睡眠時無呼吸症を原因としない抑うつ症状である臨床的徴候となる。本研究は観察研究であったが、睡眠時無呼吸症と抑うつ症状の更に明確な関連性を示すため、良好なデザインでのCPAP介入試験結果が待たれる。

引用文献:Gagnadoux F et al. Depressive symptoms before and after long term continuous positive airway pressure therapy in sleep apnea patients. Chest. 2014 Jan 16. doi: 10.1378/chest.13-2373.

投稿者 ゆみのハートクリニック

アクセス


大きな地図で見る

住所
東京都豊島区高田3-14-29
グレイスビル高田馬場1F
アクセス
高田馬場駅徒歩3分

お問い合わせ 詳しくはこちら