院長ブログ

2014年2月 2日 日曜日

子供の睡眠時無呼吸へのアデノイド摘出手術の効果

就学期の子供のいびき、睡眠時無呼吸症の原因の多くはアデノイドにあり、その治療にアデノイド口蓋扁桃摘出手術が行われている。しかしながら、その有効性についてはいまだ明らかになっていない。
Marcusらは、睡眠時無呼吸症をもつ5-9歳の就学期の子供464人を対象に、早期の手術治療群と同治療待機群を無作為に分け、7か月後の実行機能(注意や行動を制御する能力)や生活の質、また無呼吸の重症度の変化について検討した。実行機能については両群間で有意な差がなかったが、認知機能、生活の質や睡眠時無呼吸症の重症度は、早期の外科的治療群が治療待機群と比べて有意な改善を認めた。また肥満群は非肥満群と比べて同等の治療効果を認めた。尚、7か月間の観察において、無呼吸症の重症度は外科治療群で76%、治療待機群では46%の子供で改善を認めている。

ゆみのコメント: 
子供の無呼吸症は、睡眠中の成長ホルモン分泌低下から身体面や精神面での発達の遅れを認め、また集中力が低下しているため学習意欲の低下などを起こすことがあります。
いびきや無呼吸を認め、身体面や精神面の著しい低下を認める子供にはこれまでどおり積極的な摘出手術を考慮しても良いと考えるが、本研究の観察期間7カ月において、約半数が自然経過にて無呼吸症の軽快を認め、また同手術により実行機能という点においては明らかな改善を認めていないことからも、客観的に日常生活に支障がないと考えられる子供へのアデノイド摘出術は、慎重に検討する必要があります。

引用文献:Marcus CL et al. A Randomized Trial of Adenotonsillectomy for Childhood Sleep Apnea. N Engl J Med. 2013; 368: 2366-2376

投稿者 ゆみのハートクリニック

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